オーロラの下で…。

実に6年ぶりに自転車に乗った。

と言うのも、スウェーデンのお役所のゆったりとした仕事ぶりのおかげで、渡瑞して3ヶ月たつ今でも、いまだに家なき子状態を満喫する日々であり、現在の滞在先から最寄りのスーパーマーケットまで8kmほどあるのだ。

この辺りは、かなりの田舎であることもあり、夕方にはバスも終わってしまうし、何度か歩いたこともあるのだが、さすがに夜が遅く、道も危険なので、今晩は知人に自転車を借りて行ってきた次第である。

9月も半ば、すでに気温はだいぶと下がってきている。自転車で疾走していると、手袋が欲しくなるくらいの気温である。

ところで、この自転車なのだが、ブレーキが左ハンドルにしかついていない。当然ながら片側のブレーキだけでは不十分なので、もう一つブレーキ機構があるわけだが、その機構とはペダルを後ろ回しに回す事なのである。

これが、言葉だけからは分かりにくいだろうが、本当にやりにくい。

しかし、意外とこちらではこれは一般的なタイプなのだそうで、腕の力が未熟な子供用にはこのタイプの自転車が好まれるらしい。

とはいえ、6年のブランク持ちの大人が久々に乗るにはなかなかハードルの高い自転車であることは動かざる事実である。そのせいもあってかgooglemapで20分と表示されている道のりも、この自転車で片道30分強かかる。さらに行きしは緩やかなれど常に上り坂という地形も相まって、そう易々と速度も出ない。

夜風に吹かれて、ゆるゆると自転車を漕ぎ行くのである。最近は白夜も終わり夜が戻ってきているので、道乗りのほとんどはわずかな街路灯とところどころに点在する建物の灯りを除けばほぼ暗闇。

お陰で星も見えればオーロラも見える。

そう、今日も東の空にオーロラが揺らめいているのだ。

そんなオーロラを目の端に捉えつつ、広く開けた道を1人自転車で疾走していると、ふと不思議な気持ちが湧き上がる。

実は小学生の頃に1番のお気に入りだった小説が戸川幸夫氏の『オーロラの下で』という作品だった。実はオーロラの話ではなく、狼犬の本なのだが、大体において本は一読で終える僕には珍しく繰り返し読み込んだものだ。

あの本は何度も読み倒してボロボロになった今でも、もう一冊のお気に入りだった『狼王ロボ』とともに実家の本棚に並んでいる。当時はまさか自分が まさしく”オーロラの下で”生活をするなんて思いもしていなかった。今 思えば読み込む中で潜在意識にオーロラのある極域の雰囲気が刷り込まれていたのかもしれない。

そんな事を考えて、人生とはかくもおもしろおかしきものよなと、何故かオーロラに懐かしさを感じつつ帰路に着く。

明日は、大学時代の優しい先輩方がzoomで近況報告会という名の飲み会を開いてくれるそうである。離れて尚、気にかけてくれる人がいるというのは嬉しい事だ。とりあえず、明日は久しぶりに酒を嗜もう。

ちなみに、オーロラの写真はスマホで撮ったのであまり鮮明ではない。一応、グリーンのカーテン状のオーロラが綺麗に拡がっていたのだが、うまくとらえ切れていないのは残念なことだ。

そのうちちゃんとしたカメラを買って鮮明な写真も撮りたいものである。乞うご期待。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。